風バザ@小説
「美しき女性-ひと-」
一目見て、彼女は絵になると思った。
軽快に野山を跳ね回る姿、太陽の光のような眩しい笑顔。彼女をモデルにすれば、歴史に残るような美しい絵が描けるかもしれない。そう思って、僕は彼女に近づいた。
すべては僕の芸術家魂の為だったのだ。彼女を一枚の絵画に収めることさえ出来れば、それでよかった。
…それなのに。
「えへへ、嬉しいな。私なんかを絵に描いてくれるなんて。」
ある夏の日、絵のモデルを快く引き受けてくれた彼女を、自宅のアトリエへ招待する。彼女は何も知らずにやんわりと笑っていた。
憎らしかった。その笑顔は太陽の光のように等しく降り注がれる。太陽に恋焦がれた男のことなど微塵も知らずに、同じように他の男にも光を与える。その光で、また別の男が恋焦がれていることも自分は知っている。なのに、彼女は気付かない。知ろうともしない。自分が傷つくであろうことを恐れているのかどうかは知らないが。
知らないのならば、教えてやろう。太陽の光で身を焦がした青年の姿を。
「それじゃ、始めましょうか。…身に着けているもの、すべて取ってください。」
言っている意味がわからないらしく、彼女は目を丸くしてこちらを見る。、体の底から沸きあがる熱を感じた時、彼女は僕の下にいた。
「あなたは知らないでしょう? 女性というものは、存在するだけで芸術的価値があるんです。少女より淑女、貴婦人よりも裸婦、そして、もっとも美しいとされているのは、子を宿した女性なんですよ。」
眼下の彼女は怯えていた。今から僕がしようとすることがようやく分かったらしい。だけど、もう遅い。自分でも不思議なほど穏やかな笑みがこぼれる。
「あなたを美しくしてあげましょう。…この僕の手で、ね」
To be Next...?
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